2023.6.2
横浜市、神奈川県、東京都などをはじめとした多くの発注団体では、2年ごとの入札参加資格となっています。令和5,6年度入札参加資格の申請が昨秋~冬にかけて終わり、格付・等級も決まりました。
ここで例年ある相談が「思っていた格付・等級ではなかった」というご新規のご相談です。
格付・等級は変更できるか
原則としてその資格が付与された期間(今だと令和5,6年度の2年間)は変更できません。その間に例えば次の経審結果が出て点数が上がったとしても、一度決まった格付・等級は2年間固定です。
※これは発注団体によっても異なり、毎年度見直しがあるところもあります。少なくとも弊所で申請することの多い横浜市、神奈川県、川崎市、東京都などは2年間固定となっています。東京都共同運営(市区町村)は元々毎年申請手続きがあり、そのたびに変わります。
格付・等級が希望と違ってしまったということは、それぞれの格付・等級に対応している規模の工事に入札ができないということですので、会社の向こう2年間の予定に大きく狂いが生じる可能性があります。
このように「決まったら変更ができない」ので、定期申請の時にどのような内容で申請するのかというのはとても重要なことなのです。
申請するときにあらかじめ予測できるか
申請する際に、「この内容で申請すればAになる/Bになる/Cになる」ということがあらかじめ分かっていれば安心ですよね。
そのようなことができるのか?ということですが、これも発注団体により異なります。
横浜市
できません。2年ごとに格付点数の基準が変動し、かつ、その点数も入札参加資格結果通知が届いた後に公表になります。したがって、定期申請の時点では、その前の年度の点数と過去の変動幅を参考にし、予測していくしかありません。過去には30点超動いたこともありますので、それ以上の余裕を持って点数のシミュレーションをしておく必要があります。
神奈川県
令和3,4年度までは横浜市同様だったのですが、令和5,6年度はあらかじめ公表されていました。よって、申請する前に予測が可能でした。次回どのようになるかは分かりません。
東京都
予測可能です。あらかじめ公表されています。
前提として正確なシミュレーションが必要
予測できる/できないが分かったところで、前提として大事なのは、それぞれの発注団体においてどのように格付・等級点数がつけられているかを把握しておくこと、そして、それに基づいて正しく計算することです。
格付・等級点数は、原則として客観点(経審点)+主観点(団体独自に設けている評価点数)で決定します。
客観点(経審点)で注意したいこと
- いつの経審が使われるか(申請時に有効な経審なのか、認定時に有効な経審なのか)
- どの業種の点数が採用されるか(業種によって、どの業種の経審結果が使われるか)
主観点(団体独自に設けている評価点数)で注意したいこと
- 主観点に反映される期間はいつからいつまでか
- 前提の数字(工事成績や契約額、最高請負実績など)に間違いはないか
- 加算率に間違いはないか
- 特例の対象になっていないか(東京都の救済措置など)
- 新たに主観点になる評価項目はないか
対策はいつから始める必要があるか
お客様の決算期と発注団体により異なります。次回は令和7,8年度の入札参加資格となり、まだかなり先のようにも思えますが、決算月によっては、次の定期申請の対象となる経審の事業年度が開始しています。
希望の格付・等級を目指してどのような対策が必要になるか、その対策を行っていくためにはどれくらいの期間がかかるのか、まずは明らかにする必要があります。
今回希望の格付・等級にならなかったという方は、すぐに原因の分析をし、次の申請に向けてどのような対策が必要なのかを検討しましょう。