公共工事を行う事業者様にとって経審は非常に大切なものですが、なぜ大切なのか、なぜ点数が重要なのか、経審と入札参加資格・その格付との関係を解説します。
経審は何のためにある?
入札参加資格は入札に参加できるようになる資格のことです。入札に参加したいと思った事業者すべてが参加できるわけではなく、やはり要件があります。その自治体や省庁によって要件は異なりますが、おおむね共通している要件があります。
この中に「総合評定値を通知されている」とあります。つまり、経審を受けて総合評定値をもらっていないと入札参加資格を得ることはできない、ということになります。
※「経審を受けなくても良い」という例外もあります。代表的なのが①軽微な工事 ②災害によって生じる応急の工事、です。これら2つは限定的ですので、入札をしたい=経審を受けなければならない、と位置付けます。
経審の申請をすることによって、「あなたの会社は何点です」という結果が返ってきます。
なぜ経審は点数である必要があるのか
公共工事は、その工事の施工を行うにふさわしい業者が施工をすべき、という考えがあります。
全国統一基準で採点することによって、その会社が現在持っている力が分かります。公共工事は国や自治体が税金を使って行う工事ですし、不特定多数の人が使うものである場合が多くあります。様々な方法で、その工事を行うにふさわしい業者を選び、施工を行ってもらいたい意図があります。
例えば、「新しい環状道路を作る」というような大規模な工事の際、毎年の施工高があまり大きくなく、技術者も少数の会社が受注するということは普通はありえないと思います。逆に、小規模な工事であれば、そこまで制約を課す必要はありません。売上があまり大きくなくても、技術者が数人しかいなくても施工できますし、規模感にマッチするわけです。
そこで、その建設会社としての経営規模や経営状況を評価するのに、まずは、一律の基準で判断をしましょう、ということで使われているのがこの経審です。
経審点と格付との関係
入札参加資格の申請をする際には、この経審の点数をつけて申請します。理由は2つあります。
①この経審の点数を基に会社ごとにランクをつけているからです。そしてそのランクごとに入札出来る案件の規模が変わるようにしています。
②「ランク付け」しない場合でも、点数によって入札出来る会社の範囲を絞るためです。この工事は経審点800点以上でないとできませんよ、などといった条件を設定することができます。
客観点と主観点とは
格付を決定する要素は、経審点だけではないことがほとんどです。この経審点を客観点と呼びます。これに加えて、自治体独自の評価点数として主観点を定めているところがあります。公共工事の成績や、若手技術者の数、ISO登録の有無、建災防加入の有無など、様々です。この二つを合算した額が格付点数となって、その会社の格付が決定します。
例えば経審点800点、主観点50点の場合、合算850点ですから、格付B、この間の規模の工事に入札が出来ます。逆に例えばCになった場合にはその規模の工事しか請けられないわけです。そしてこの格付は基本的に2年間固定の場合がほとんどです。
ちなみに何点から何点がどの格付になるかというのは自治体によって異なります。また何段階かも異なります。したがって、同じ経審点を持っていたとしても、横浜市ではBランク、神奈川県ではCランク、ということが有り得ます。
この主観点の全体の点数への寄与度は自治体で様々ですが、最終的な点数を上げていこう、コントロールしようと思ったときには、大きく影響してくる点数です。その自治体で何が評価項目にされていて、何点変わるのかをしっかり調べることが重要です。
点数がとても大切
このようにみてきますと、公共工事で経営を成り立たせている事業者様にとって、どの格付になるかは非常に重要なことなのではないか、ということになります。
その格付を決める重要要素になっているのが経審です。確かに上で書いた主観点の要素もありますが、やはり配分として経審点の方がずっと大きいことがほとんどです。
例えば、ずっとCランクだったところ念願のBに上がることができ、請け負うことができる工事の規模がぐっと大きくなったこともよって売上をどんどん伸ばしているケースもあります。一方で、ずっとBで来ていたところCになってしまい、1件ごとの工事規模が小さくなってしまったことにより、多くの工事を受注しなければならず、結果としてBの工事を請けていたよりも少なくなってしまっているケースもあります。公共工事をメインで行う建設会社様にとってどの格付にいるのか、というのは経営に直結する重要な問題です。
経審を受ける前に確認するべき3つのこと
こういった経審の本質を踏まえて、実際に経審を受ける前に確認しておくべき3つのことは、
①経審を受ける目的
②その目的が達成されるための要件
③期日
です。
必要な手続き順に前からやっていっていては、最終目的が達せられないときがあります。すべて、経審のその先にある目的や希望期日から逆算して考えていくことが重要です。
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