点数アップにつながる可能性のある完成工事高の積み上げについて解説します。
完成工事高の積み上げ(振替)とは
経審では完成工事高に対する評価点(X1)があります。これは業種ごとに点数がつきます。
基本的にこの部分だけ見れば、完成工事高が大きければ大きいほど高い点数になる仕組みになっていますので、点数を上げていきたい業種の完成工事高を上げていく、ということは点数アップの原則です。
※完成工事高が大きくなっても例えば利益率が下がるなどすると全体的に点数が下がることはありますので、ただ仕事を取っていけばよい、ということではありません。
完成工事高の積み上げとは、
- 申請する業種が一式工事の場合、許可を持っている専門工事の完成工事高を一式工事の完成工事高に含めることができる
- 申請する業種が専門工事の場合、許可を持っている専門工事の完成工事高を、その専門工事の完成工事高に含めることができる
という制度です。完成工事高だけではなく、元請完成工事高も同時に積み上げますので、Z点(元請完成工事高と技術者の評点)にも影響してきます。
厳密には、「内容に応じて含めることができる」とされています。それを各行政庁がどの業種ならどの業種に積み上げて良いかを判断しています。
積み上げをするときに気を付けること
この制度を利用するにあたって重要なことです。
1.積み上げを行った元の業種は、経審の申請ができません
積み上げ先の業種の完成工事高として評価されますので、積み上げ元の業種は経審の申請自体ができません。つまりその業種には経審点がつきませんので、公共工事の入札参加資格申請もできません。
【例】とび・土工・コンクリート工事の完成工事高を土木一式工事に積み上げた場合
→ 土木一式工事は経審申請ができますが、とび・土工・コンクリート工事は経審の申請ができません。
2.行政庁によりルールが異なります
積み上げ可能な業種が行政庁により異なりますので、申請先の手引きをよくご確認ください。
3.積み上げ元の裏付け資料も必要です。
積み上げた業種についても工事の裏付け資料が必要になります。
4.積み上げ元の完成工事高の一部だけを積み上げることはできません。
積み上げるなら全額(元請完成工事高も下請完成工事高も)積み上げます。
5.積み上げ元の業種の許可を持っている必要があります。
許可の無い業種の完成工事高は積み上げできません。規模的に不要なので許可を取っていないものの積み上げられる業種があれば、許可を取ることを考えても良いかもしれません。(それだけの効果があるかの検討も必要です)
神奈川県の積み上げ可能業種一覧
一式工事に専門工事を積み上げる場合です。
積み上げ先 | 積み上げ元 |
土木一式工事 |
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建築一式工事 |
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専門工事に専門工事を積み上げる場合です。
電気工事 | ⇔ | 電気通信工事 |
管工事 | ⇔ | 水道施設工事 |
管工事 | ⇔ | 熱絶縁工事 |
とび・土工・コンクリート工事 | ⇔ | 造園工事 |
とび・土工・コンクリート工事 | ⇔ | 石工事 |
積み上げの制度を利用してしっかり点数を取ろう
完成工事高があるものの経審は受けなくて良い業種について積み上げが可能であれば、ぜひこの制度を利用しましょう。
積み上げることにより点数がどれだけ変わるのかは事前にシミュレーションを行います。
完成工事高評点を正しく獲得するためには2年平均と3年平均、どちらを採用するかも重要です。こちらの記事もぜひご覧ください。