スタッフ笹森です。
経審では、企業を会計的な立場から点数化するための経営状況分析を事前に受けなければいけません。
経営状況分析機関は、経営状況分析評点Yの算出のほか、国土交通大臣の定める基準により、各勘定科目に誤りがないかのチェックを行っています。
分析申請に必要な項目のひとつである減価償却費についてまとめました。
減価償却費とは?
減価償却は、企業が所有する固定資産の価値を耐用年数にわたって費用として計上するための手続きです。具体的には、建物、機械、設備などの購入時の費用を、使用期間にわたって少しずつ経費として計上します。この手続きにより、資産の減価分を正確に会計上に反映させることができます。
経審と減価償却費
経営状況分析申請には、「当期減価償却実施額」の確認が必要です。
財務諸表に掲載されている「有形固定資産」および「無形固定資産」のうち、 「減価償却費」として費用計上された償却額が該当します。
経審点へ影響①
減価償却費は、営業キャッシュフローの計算に使用されます。
営業キャッシュフロー値は大きい方が良いとされ、減価償却実施額は数値の計算において加算項目になります。
経審点へ影響②
減価償却費は、平均利益額の計算にも使用されます。
平均利益額は大きい方が良いとされ、平均利益額は「営業利益 + 減価償却費」で計算されます。
※減価償却費が加算項目となる理由
減価償却費は実際にお金が出ていく支出ではなく、会計上の費用として扱われます。この費用を加算項目とすることで、企業がどれだけ本業で稼いでいるかをより正確に評価することができるためです。
減価償却費はどこを見る?
その年の減価償却費は、損益計算書の「原価」もしくは、「販売費および一般管理費」に費用として計上されます。
分析では、減価償却費の確認資料として別表十六を添付します。
確認資料「別表十六」の種類
決算書の別表十六は、減価償却費の詳細を示す資料です。
別表十六は(1)~(11)まであります。建設業でよくみる別表十六をまとめました。
別表十六(1)
旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(2)
旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(6)
繰延資産の償却額の計算に関する明細書
税法上の繰延資産で、財務諸表において無形固定資産として計上し、かつ「減価償却費」として費用計上されたもの。
別表十六(7)
少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書※
別表十六(8)
一括償却資産の損金算入に関する明細書※
※少額資産または一括償却資産の損金算入金額が、「減価償却費」として費用計上されてる場合は、減価償却費の確認資料として添付します。
まとめ
分析申請の際には、正しい減価償却費の把握と別表十六の添付が必要です。審査がスムーズに進むようしっかり準備しましょう。
はじめて経審を受ける企業は、3期分の別表十六が必要になりますのでご注意ください。