2023.6.23
建設業界の将来にわたる担い手の確保・育成のため、今年5月に営業所専任技術者の要件や、技術検定の受験資格が見直されました。
1.営業所専任技術者の(主任技術者等も同様に)要件緩和(令和5年7月1日~)
建設業許可を取得・維持するためには、営業所ごとに専任技術者を配置しなければいけません。また、請け負った建設工事の現場ごとにも、主任技術者等を配置しなければいけません。専任技術者(主任技術者等)の要件は、対応した資格を持っているか、業種ごとに実務経験があることが必要です。
この実務経験の年数は、学歴によって3つのパターンに分かれます。
① 大学の指定学科卒業後3年の実務経験
② 高校の指定学科卒業後5年の実務経験
③ ①②以外は、10年の実務経験
今回、技術検定合格者を指定学科卒業者と同等とみなす改正が行われましたので、実務経験年数を短縮できるパターンが増えたことになります。
① 1級1次検定(技士補)合格後3年の実務経験 ※技士も同様に適用されます。
② 2級1次検定(技士補)合格後5年の実務経験 ※技士も同様に適用されます。
技術検定の種目に対応する指定学科
● 土木施工、造園施工 ・・・土木工学
● 建築施工 ・・・建築学
● 電気工事施工 ・・・電気工学
● 管工事施工 ・・・機械工学
(注1)この要件緩和は、指定建設業「土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業」と、「電気通信工事業」には適用されません。
(注2)特定建設業の専任技術者や監理技術者は、2年以上の指導監督的実務経験も合わせて必要です。
例えば、対応した資格がとても少なかった「機械器具設置工事業」の場合は、次のようになります。
① 建築学、機械工学、電気工学の卒業者 ・・・卒業後3年や5年以上の実務経験
② ①以外の実務経験者 ・・・10年以上の実務経験
③ 建築施工、管工事施工、電気工事施工の合格者・・・合格後3年や5年以上の実務経験
この要件緩和は少し複雑ですので、該当するかどうか確認したい場合などは、お気軽に弊所までご連絡くださいませ。
2.施工管理技術検定の受験資格見直し(令和6年4月1日~)
技術検定の受験資格が見直され、令和6年度から受験できる人の範囲が拡がります。
(注)令和10年度までは、改正前の受験資格でも受験可能です。
■ 1級1次検定
学歴と実務経験の要件が撤廃されることになりました。
検定が行われる年度末日の年齢が19歳以上の方が受験できるようになります。
■ 1級2次検定
実務経験年数が短縮されます。
① 1級1次検定合格後、次のいずれかの実務経験で受験可能となります。
・実務経験5年以上
・特定実務経験(※)を1年以上含んだ実務経験が3年以上
・監理技術者補佐としての実務経験が1年以上
② 2級2次検定合格後、次のいずれかの実務経験で受験可能となります。
(注)1級1次検定に合格する必要もあります。
・実務経験5年以上
・特定実務経験(※)を1年以上含んだ実務経験が3年以上
③ 技術士の建設部門等、1級建築士、1種電気工事士の合格者も実務経験年数が短縮されます。
※特定実務経験とは
請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、監理技術者の指導の下で行った経験です。
■ 2級1次検定
今回の見直し前と同じ要件です。
検定が行われる年度末日の年齢が17歳以上の方が受験できます。
■ 2級2次検定
学歴に応じた実務経験年数の差が無くなります。
① 1次検定合格後の実務経験が3年以上で受験できるようになります。(建設機械の種目は2年以上となります。)
② 1級1次検定に合格していれば、合格後の実務経験が3年以上で受験可能となります。
③ 技術士の建設部門等、1級建築士、電気工事士等の合格者も実務経験年数が短縮されます。
令和6年度以降の運用は検討中ですので、詳細が発表されましたら追ってお知らせいたします。