経審の手続きを行うにあたって、実務上とても大切な3つのことを解説します。
1.決算日時点で審査される
経審は、審査基準日その日における会社の規模や経営状態に対して点数をつける手続きです。
審査基準日というのは、いわゆる決算日のこと。3月末決算の会社なら3月31日、6月決算の会社なら6月30日が審査基準日です。
【決算日時点で審査される】というのがどういうことかというと、その翌日以降に加点になる要素が発生しても今回の経審においては評価されない、ということです。例えばISO9001の認証を受けていると加点になります。これが決算日翌日に受けた認証なら、その経審では評価されません。一級技術者の方が監理技術者証の交付を受けるのが決算日翌日以降になってしまったら、やはりその経審では評価されません。
非常に当然のことのように思えるのですが、決算日前にやっておらず加点にならなかった…ということは、かなり多くあります。
なぜなら、経審の手続きを実際に行うのは決算日から2ヶ月後の決算申告の後に行うからです。
いざ経審を受けようとした時、つまり決算日を過ぎて2ヶ月後くらいに「そうだ!監理技術者証の交付手続きをしていなかったから今からやろう」と思っても、遅いということです。
ではどうするか
決算月に入ったら(あるいはその前の月でも)経審のためにやっておくべき手続きは無かったかを確認しておくことです。
- 監理技術者証の交付は?
- 監理技術者講習は?
- 建退共の手帳は更新した?
- 建設機械の特定自主検査は受けたか?
など、決算日前ににやっておかなければいけないことをおさらいします。
ブリジアスでは、このリマインドをお客様に対して行っています。毎年のことではありますが、日々の業務に追われる中で、お客様が経審のことだけを考えているわけにはいきません。「忘れていたので助かりました」というお声を頂戴することも多く、確実な加点につなげることができています。
2.証明書類は決まっている
経審の申請をするときには、大きく2つの書類をセットにして出します。
- 法定書類…申請書や技術職員名簿など、全国統一の様式
- 確認書類…1を裏付けるための書類
1の法定書類は、書き方や並べ方の違いはあるものの様式は全国同じ。
2の確認書類は、工事や技術職員、保険加入状況など1法定書類で申請した内容が正しいかを裏付けるための書類になっています。
確認書類は行政で異なる
どの確認書類を求めているかは許可行政庁で異なります。ブリジアスは神奈川県知事許可、東京都知事許可、大臣許可の取り扱いが多いですが、この3つでも異なります。どの書類があれば認められるのかをあらかじめ把握し、準備をしておくことがとても大切です。
確認書類は決まっている
例えば技術職員名簿に記載した技術者の常勤性を証明する書類として、神奈川県で認められているのは下記書類です。
|
以前は、下記も認められていました。
- 健康保険被保険者証
- 雇用保険被保険者証
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
- 法人税確定申告書の表紙及び役員報酬蘭(取締役等の場合)
現在は上に記載した方のみが認められ、代替書類は基本的に認められていません。行政によっては、神奈川では認められていない下の方の書類が確認書類としてOKなこともあるかもしれません。
「以前は下記も認められていた」ということは、改正も十分に有り得るということです。情報を常にキャッチしながら、認められる書類を準備しておくことが重要です。
3.受付日が決まっている
経審の受付日が決まっている場合があります。
神奈川県では下記URLより受付日の確認が出来ます。基本的に月曜日と火曜日で、補正対応日を含めて月5~9日です。
>>神奈川県の経営事項審査のページ
東京都は予約制となります。
経審を受けた後に入札参加資格申請まで行う場合は、経審をいつ受けるか、ということが重要になってきます。神奈川県では申請から約1ヶ月後に結果通知が届きますが、この結果通知が無ければ入札参加資格申請を行うことができません。
入札参加資格申請の無い年の経審はこの点をあまり気にせず、経審の有効期限を切らさないことを考えれば良いのですが(もちろん取引先対応のため等の理由で早く出すこともあります)入札参加資格申請のある年は、経審をいつ受けるか、そのためには決算申告をいつまでに終わらせてもらわなければならないかを逆算してスケジュールを組んでいきます。
経審の手続きはすべて逆算です。お客様のご希望を叶えるためには、最終ゴールからさかのぼって、いつ、何をする必要があるのかをしっかり整理し、一つひとつ手続きを進めていく必要があります。