格付はどうやって決まるか
各自治体などの入札参加資格を得ると、会社ごとの格付が決まります。格付はA~Cの3段階や、A~Dの4段階、ABの2段階など、様々です。
この格付は何のためにあるのかというと、入札できる工事の規模を決めるためです。
例えば、川崎市の土木工事について見てみましょう。
川崎市格付(土木)平成31・32年度用
格付 | 格付点数 | 発注標準金額 |
A | 910点以上 | 7,000万円以上 |
B | 755点以上910点未満 | 2,500万円以上7,000万円未満 |
C | 680点以上755点未満 | 1,200万円以上2,500万円未満 |
D | 680点未満 | 1,200万円未満 |
格付がDの会社は1,200万円未満の工事にのみ入札ができる、Aの会社は7,000万円以上の工事に入札ができる、といったように、どの格付にいるかによりチャレンジできる工事の規模が変わってきます。
つまり、公共工事が経営の主体となっている会社様にとって、どの格付になるかということは非常に大切なことになるいうことになります。
この格付点数は、以下のように決まります。
格付の点数=経審点+主観点 |
経審点は、正に経審を受けた時に評価される点数です。
では主観点とは何でしょうか?
主観点とは何か
これは、各自治体等が独自に定めている評価点数のことです。公共工事の成績や若手技術者の数など、様々な項目があります。
自治体等によって何を項目にしているかが異なりますので、主に入札をされたい自治体等の主観点の算出方法を把握し、点数をコントロールすることが必要です。
川崎市の主観点はどうやって決まるか
評価項目ごとに点数が定められています。※分かりやすくするために法令名を省き、簡略化してご説明しています。
1 | 法律に基づき雇用状況の報告を義務付けられている事業者で法定雇用率を達成していること。または、法律に基づ雇用状況の報告を義務付けられている事業者以外で障害者を常用雇用していること | 10点 |
2 | 川崎市と応急防災措置等に関する協定等を締結している事業者及び締結している団体に加入していること | 10点 |
3 | 川崎市防災協力事業所登録制度に関する登録をしていること | 10点 |
4 | 建設業労働災害防止協会に加入していること | 10点 |
5 | 本社又は委任先若しくは市内の営業所がISO9001の認証を取得していること | 10点 |
6 | 本社又は委任先若しくは市内の営業所がISO14001の認証を取得していること | 10点 |
7 | 次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」または女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく「一般事業主行動計画」を策定していること | 10点 |
8 | くるみん認定、えるぼし認定、または「かわさき☆えるぼし」認証制度実施要綱に基づく認証を受けていること | 10点 |
9 | 横浜保護観察所に協力雇用主として登録があること | 10点 |
10 | 川崎市優良事業者表彰要綱に基づく表彰を受けてから、5年度を経過していないこと | 10点 |
11 | 川崎市の規定にもとづく工事成績評定書の成績評定点の業種ごとの過去3年の平均点 1) 75点以上:10点 2) 65点以上75点未満:5点 3) 65点未満及び点数がない場合:0点 |
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市内に本社又は事業所を有する事業者のみが対象となります。
主観点はどの時点で算定されるか
1~10については、川崎市に対して入札参加資格申請を行うタイミングです。
川崎市では2年度ごとの入札参加資格となっています。定期申請は隔年9月に行われます。この時に上記主観点のつく項目について該当していることを申請し、決められた裏付け資料を送付します。
経審との違いとして、経審は決算日時点で加点項目を満たしているかどうかで判断します。一方こちらの主観点は入札参加資格申請時点で判断されます。直前に取り組んだものも点数に反映されますので、諦めずにぜひ最後までできることはないか確認してみましょう。
主観点アップを実践!
中でも、多くの会社様で取り組みが見られるものや、取り組みやすいものについてご紹介します。
3.川崎市防災協力事業者登録
日頃の地域活動を通じて地域との交流を深め、災害が発生した直後に可能な範囲で防災活動に協力し、被害の軽減や地域生活の早期復旧のための制度です。
防災協力事業者として登録されると、社名がホームページ上の名簿に掲載されます。
趣旨に賛同した事業者のボランティアによるものですので、防災活動に要した経費補填はありませんし、実際に平常時および災害発生時の防災活動を、可能な範囲とはいえ行うものになりますので会社としての負担がある一方、大きな社会貢献の意味合いを持つ活動になり、会社の信頼へとつながる側面もあります。
4.建設業労働災害防止協会への加入
いわゆる「建災防(けんさいぼう)」と呼ばれており、労働災害防止のための活動を行っている協会です。
多くの自治体の主観点、総合評価点、工事成績の評価項目になっており、加入している会社様はとても多いです。
下記URLより入会のご案内が見られます。
>>建災防【入会のご案内】
7.「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」及び「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」の策定及び届出
事業主が、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備、女性が活躍できる雇用環境・労働条件の整備などに取り組むに当たって、計画期間、目標、目標を達成するための対策の内容と実施時期を具体的に盛り込み策定するものです。労働基準監督署に届出を行います。
>>厚生労働省【女性活躍推進法特集ページ】
>>厚生労働省【次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画について】
主観評価項目に変更が生じた場合
主観評価項目に変更が生じた場合、例えば、「当初は防災協力事業者登録を行っていなかったが、この度登録をした」というようなとき、変更手続きができます。
しかし、その後の取り扱いには注意点が2つあります。
1.格付は変わりません
入札参加資格の年度途中に変更が出されても、一度確定した格付は変わりません。
2.主観点は変わります
格付は変わりませんが、主観点自体は変わります。工事の案件ごとに主観点〇点以上というような条件が付いている場合、この判断には変更後の主観点が使われます。
ブリジアスでは、川崎市で公共工事を請け負う皆さまのお手伝いをしています。経審手続き、経審点や主観点アップのご提案をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。