経審の申請をするとき、申請者にとって有利な方を選択できるところがいくつかあります。そのうちの1つ、完成工事高の2年平均・3年平均の選択についてです。
有利な方を選択できます
業種ごとの完成工事高は2年または3年の平均で申請することになっています。例えば2020年3月決算を基準とした経審を受ける場合で、2年平均を採用するならば、2019年3月決算の完成工事高と、2020年3月決算の完成工事高の平均で申請します。
点数を上げようと思ったとき、より完成工事高が高い方が完成工事高評点は上がりますので、2年平均と3年平均を比較して高い方を選択すればOKです。※要注意ポイントがあるので最後までご覧くださいm(__)m
例えばこんな完成工事高だった場合。
決算年度 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
完成工事高 | 60,000千円 | 40,000千円 | 80,000千円 |
2年平均:(40,000+70,000)/2=55,000
3年平均:(60,000+40,000+80,000)/3=60,000
…と、このように3年平均の方が高くなるので、3年平均を採用することになります。
1業種ずつ選択することはできません
とっても簡単な話に思えるのですが、頭を悩ませるポイントがあります。
それが、業種ごとに2年平均か3年平均を採用することができない、ということです。
経審を受ける業種が1業種だったら問題にはなりません。複数業種あったときに、業種Aは2年平均の方が高いが、業種Bは3年平均の方が高い、といったことが非常によく起こります。
決算年度 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
完成工事高(土木) | 60,000千円 | 40,000千円 | 80,000千円 |
完成工事高(舗装) | 5,000千円 | 8,000千円 | 6,000千円 |
土木は3年平均の方が高くなります。一方で舗装は2年平均の方が高くなります。
結果が相反した時にどちらを採用するのか
視点は2つあります。
1.点数を上げたい業種の優先順位を決めること
どちらの業種の方がより高い点数を取らなければならないか、ということです。これは単純に点数が高い低いということよりも、自治体等の格付の中でどの位置にいるかも加味して考えます。例えば上のケースで、舗装を優先させなければBからCに落ちてしまうかも、なんてことがあれば、舗装を優先させて2年平均を採用します。「とにかく何が何でも土木の点数を1点でも上げたい!」という場合には、3年平均を採用します。
2.点数の差がどれくらいあるか
2年平均を採用した場合、3年平均を採用した場合でどの程度の差が出るのかも確認します。
土木は3年平均、舗装は2年平均の方が高いという状態で、土木を2年平均にすると10点下がり、逆に舗装を3年平均にしても1点しか変わらないのであれば、全体的に有効な点数を高くするために3年にしよう!という判断をすることもあります。
完成工事高全体だけでなく、元請完成工事高もチェック
上のお話は完成工事高全体の話です。これは経審点の中ではX1といわれる部分です。
>>X1ってどこのこと?こちらの記事で解説しています
実は2年平均か3年平均かが影響してくるのはこのX1だけでなく、元請完成工事高(Z)もあるのです。
元請完成工事高も下記の点は同じです。
- 元請完成工事高が高いほど、点数は高い
- 業種ごとに2年か3年を選ぶことはできない
単純な手計算をしてしまうと、完成工事高全体では3年の方が高いけど、元請完成工事高だけ見ると2年の方が高いということがあり得ます。
決算年度 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
完成工事高 | 60,000千円 | 40,000千円 | 80,000千円 |
うち元請完成工事高 | 40,000千円 | 4,0000千円 | 8,0000千円 |
こうした時にはやはりトータルでどちらの方が点数が高くなるのかをシミュレーションして比較することになります。
毎年選択は変えてOK
2年平均を採用するのか、3年平均を採用するのかは、毎年変えることができます。去年は2年だったけど今年は3年ということが認められています。
ぜひ、完璧なシミュレーションを行い、格付基準点数もにらみながら、最適な内容で申請を行ってください。