法定外労働災害補償制度の導入は、経審の加点項目の中でも特に大きい項目の一つです。加点を得るための方法はいくつかありますが、その中でも代表的なものをメインに解説します。
どのような法定外労働災害補償制度が加点として認められているのか
従業員がいる場合、法定労災には当然加入をします。法定労災以外に上乗せの労災として加入していることが経審上評価され、加点となります。
下記のような制度加入が加点として認められています。
1.(公財)建設業福祉共済団の建設労災補償共済制度への加入 2.(一社)全国建設業労災互助会への加入 3.全日本火災共済協同組合連合会労働災害補償共済契約への加入 4.(一社)全国労働保険事務組合連合会の共済事業への加入 5.損害保険会社との契約 |
下記のどの方法を採用したとしても加点は同じで、P点換算(経審の最終的な点数)で+21点です。
印象として多いのは1と5ですが、中でも5が最多だと思われます。加点になるためには要件がありますので、以下解説します。
損害保険会社との契約で加点とするには
民間の保険会社の保険商品の中に、上乗せ労災があります。商品名は各保険会社で異なりますが、例えば従業員が業務上ケガをした、入院・通院した、亡くなった、などの場合に保険がおりる内容の商品です。
経審で加点とするためには、以下の4つを満たしている必要があります。
1.直接の使用関係にある職員及び下請負人すべての直接の使用関係にある職員のすべてを対象とすること 2.業務災害と通勤災害(出・退勤とも)いずれも対象としていること 3.補償範囲が死亡及び労災障害等級 1~7 級以上のもの 4.すべての工事(共同企業体及び海外工事は除く)を補償していること |
代理店の方に伝えて欲しいこと
経審点の加点を見据えて保険加入する場合は、上記要件を必ず伝えて加入をしてください。
大抵の場合は4つすべてクリアしているはずですが、例えば補償範囲が下請負人までカバーされていないなどのケースもあります。
決算日が保険期間に入っていること
経審は決算日その日時点の経営状況について点数をつけるものですので、保険期間の中に決算日が入っている必要があります。決算が終わってから加入したものは認められません。
保険期間は通常1年間です。決算より前に加入をするようにしましょう。
役員のみで構成されている会社の場合(神奈川県の場合)
神奈川県では、上乗せ労災の加入を証明する書類の他、法定労災の申告書と領収書も添付する必要があります。
役員のみの会社の場合、法定労災には加入ができないため、法定労災の申告書と領収書の添付ができない一方、民間の保険会社の上乗せ労災には加入をしていたということが過去にありました。
この場合、神奈川県では「加点として認められない」という判断をしているとのことでした。
※過去の事例なので、都度確認が必要です。
まとめ
上乗せ労災に関する加点は全業種に等しく加算されますので、点数アップを狙うときには必ず取りたいところです。
また上乗せ労災に加入することそのものが、会社のリスクヘッジにとって非常に重要です。法定労災だけではカバーしきれない場合ケースは多々あり、備えとして加入していることが一般的です。毎年一定のコストが発生しますので、比較をしながら適切な加入の方法を検討していきましょう。
こちらの記事で経審点アップの概要を解説しています。
>>【徹底解説】経審の点数を上げるためにまずは確認したい5つのポイント